【千葉県立農業大学校】農薬の安全性についての講義と土壌診断、花の収穫調製実習を受けました

農薬の安全性についての講義と土壌診断、花の収穫調製の実習を行いました。

農薬と聞くと危険なものというイメージが浮かびますが、実際の農薬は、厳しい検査基準により安全性が確立されていると説明を受けました。

土壌診断についても、農業の基本となる土の状態を知る手法を学びました。

農薬は安全なのか?

結論から言うと適正に使用すれば安全であると教わりました。

国内で使用されている農薬は、国の検査に合格したものだけです。この国の検査は、非常に厳しい検査となっており、ADI(一日摂取許容量)という数値に基づき農薬を検査しています。

ADIとは、現時点での最高レベルの化学において一生涯食べ続けても安全とされる農薬の量という意味です。

このADIの算出方法についてですが、ネズミやウサギなどの動物で農薬毒性試験を行って無毒性量を調べ、その無毒性量の100分の1がADI(一日摂取許容量)となります。また、実際に使用されている農薬のほとんどは、ADIの半分以下の数値です。したがって、農薬の安全性は高いと言えるでしょう。

なお、講義の際に先生が面白いお話しをしてくれました。それは、疫学者と主婦の『がん』の原因となるもののイメージの違いについてです。

たとえば、食品添加物は発がん性があるかという質問に対して、主婦は43%あると答えましたが、疫学者は1%しかあると答えませんでした。

農薬については、24%の主婦があると答えましたが、疫学者はなんと0%でした。

また、驚くべきことにワラビやカラシなどの普通の食べものについては、主婦が0%と答えたのに対し、疫学者は35%と答えています。

疫学者の意見では、農薬より自然の食べ物の方が、はるかに発がん性物質が多く含まれているそうです。

昨今、マスコミなどで農薬は危険であるという論調がありますが、専門家の意見では、農薬は国の厳しい基準により適正に使用されているので安全性が確立されていると言われています。

無農薬栽培も素晴らしい農法だと思いますが、一方で食料増産には農薬は欠かせないものとなっていますので、農薬を適正に使用することも必要であると感じました。

土壌診断実習

実習で与えられた自分の圃場の土壌分析を行いました。分析項目は、pH(水素イオン濃度)とEC(電気伝導度)の2つです。

pH(水素イオン濃度)は、土壌が酸性であるかアルカリ性であるかを調べるものです。

EC(電気伝導度)は、土壌に肥料量を調べるものです。

この2つの分析項目は、土壌を調べるうえでの基本となるそうです。

分析の手順は以下のとおりです。

① 土の採取
サンプルとなる土を圃場から採取します。採取の際は、表面の土は取らず、深さ1センチ以下の土を取ります。また、一箇所だけではなく、圃場の数箇所からバランスよく採取します。採取した土は、雨の当たらない風通しのよい場所に置いて数日間、乾燥させます。

② 土を細かくして不純物を取り除く
乾燥させた土を砂状にすり潰して、石や根っこなどの不純物を取り除きます。

③ 純水と土を混ぜ合わせる
純水と土を5:1の割合で混ぜ合わせます。土(10グラム)と純水50ccをビーカーに入れて棒で1~2分間かき混ぜます。


(混ぜ合わせる様子)

④ 測定器を使用して分析する。
まず、pHですが、実習ではポータブル測定器とリトマス紙の2通りの分析を行いました。

ポータブル測定器は、測定器の先端にスポイトで混ぜ合わせた液体を垂らすと、pHの値が表示されます。


(測定器に液体を垂らす様子)

私のpHの測定結果は、露地がpH6.5、ハウスがpH5.6でした。露地はおおむね適正値ですが、ハウスは少し酸性が強いですね。

測定器で計測したあと、リトマス紙に液体を垂らして測定しましたが、結果はだいたい測定器と同じくらいのpHでした。

次にECの分析ですが、これもpH測定と同じくポータブル測定器の先端に液体を垂らすと、ECの値が表示されます。

私のECの測定結果は、露地が0.06、ハウスが0.9でした。目安としては、ECの値が0.4~1.6が適作の作物が多いので、露地はほとんど肥料が無い状態でハウスはそこそこ肥料がある状態だということがわかりました。

以上の結果から、露地圃場は肥料が不足しているので、肥料をまいていこうと思います。ハウスについては、肥料は十分ありますが、土壌のpHが酸性に偏っているため、土壌をアルカリ性寄りにする効果がある苦土石灰をまいて、pHを中性に近づけていきたいと思います。

花の収穫調製

金魚草の収穫と調整作業の実習を行いました。金魚草の根元を枝切りハサミで切って収穫します。


(金魚草のハウス)

花は見た目が命なので、収穫した花に傷が付かないようにゴザでくるんで調整室まで運びます。

調整作業では、まず、長さを60センチ~80センチに揃えるため、茎を切ります。長さを揃えたら根元部分の枝葉を落とします。


(長さを揃えた金魚草)

最後に透明のビニールで包装したら完成です。


(包装した金魚草)

完成した金魚草は、水を張ったバケツにさして保存します。


(バケツにさした金魚草)

花はとにかく見た目が大切なので、どれだけ綺麗に見えるように収穫・調製するかが重要だと教わりました。

私は、花卉農業をするつもりはありませんが、見た目が大切なのは野菜にも共通することなので、出荷調整の際には見た目をよく見せるように意識したいと思います。