【千葉県立農業大学校】土壌と肥料の基礎について学びました

講義で土壌と肥料の基礎について学びました。

かなり化学的な内容となり少々難しいですが、土づくりは農業の基礎だと言われますので、化学が苦手な私なりに理解を深めたいと思います。

千葉県の土の性質について

同じ千葉県内でも場所によって土の性質が異なります。

下総台地の土は、富士山の火山灰が積もって形成された『火山灰土』です。

九十九里浜の海岸線沿いの土は、昔は海だった場所が陸になって形成された海性の土となっています。

利根川沿いの土は、川の氾濫などによって形成された河性の土となっています。

これらは一例ですが、一口に土といってもさまざまな特性を持っているので、土の性質を理解し農業を行う必要があります。

例えば下総台地の『火山灰土』には、土壌がりん酸を吸収しやすいため、農作物のりん酸吸収量が減るという性質があります。このため、『火山灰土』では、りん酸肥料を使用する際に土の性質を考慮しなければなりません。

一方で『火山灰土』は、空気の含有量が多いため、ふかふかなやわらかい土です。このやわらかい土が作用して良質な作物を育てることができます。

このように土の特性を理解すれば、土壌に合った良い作物を栽培することができますので、土の性質を理解するということはとても重要なことですね。

土壌pHによる養分吸収への影響

作物の生育には、さまざまな栄養素が必要となりますが、土壌pH(水素イオン濃度)により、養分の吸収量が変動します。

適正pH帯は、作物によって異なりますが、ほとんどの作物は中性に近いpH帯(pH6~pH7)が生育の良いpHのようです。これが酸性もしくはアルカリ性に偏り過ぎると、吸収量が過多、過少になってしまう養分があるため、作物の生育に悪影響がでてしまいます。

ほとんどの土壌は、化学肥料を入れるとpHは酸性に寄っていきます。

このため、土壌pHを中性に戻すために土壌をアルカリ性にする肥料(石灰など)をまいて調整をします。

ただし、このときに石灰などをまきすぎるとアルカリ性に寄り過ぎてしまうこともあるため注意が必要です。こうなると塩類集積と呼ばれる現象が発生してしまい、作物の生育に悪影響がでてしまいます。

なお、アルカリ性の土壌を酸性にすることは難しく、ある程度時間がかかるといわれています。土壌を酸性にするためには硫黄をまきますが、即効性はなく、効果も安定しません。アルカリ性の土壌を潅水して水で流すという方法もありますが、これは地下水汚染の原因となるため、先生からはなるべくやらないようにと教えられました。

土壌をアルカリ性にするのは簡単ですが、酸性にするのは難しいと覚えておくとよいと思います。なるべくアルカリ性に寄らないように肥料をまく際には注意が必要ですね。

CEC(陽イオン交換容量、塩基置換容量)について

CECとは簡単に表すと『保肥力』のことです。粘土質の土壌や腐植(有機物)が多い土壌は保肥力が高く、砂質の土壌は保肥力が低い傾向にあるそうです。

保肥力を高くするためには堆肥を入れます。堆肥には腐植が含まれているため、基肥として堆肥を入れるのは保肥力を高めるためという意味があります。

腐植が多く含まれている土壌は保肥力が高く、pHの変動も緩やかになるため土壌の酸性化を抑制できます。

なお、腐植が含まれている土と含まれていない土は、見た目で判別できます。腐植が含まれている土は黒っぽい色ですが、含まれていない土は茶色っぽい色です。


(左は腐植がほとんどない土、右が腐植が多く含まれている土)

なお、土壌の断面を見ても違いがハッキリわかります。以下の画像は、穴を掘って確認した地層ですが、地表に近い部分は黒色で腐植を含んでいますが、深い部分は茶色っぽい色で腐植をほとんで含んでいません。


(土壌の断面)

作物をつくるうえで、腐植は非常に重要な役割を果たします。基肥を行う際に、堆肥による腐植を畑に入れることの意味を講義を通じて理解することができました。

土壌と肥料は絶妙なバランスが必要となるため、実習でもしっかり計算しながらやっていきたいと思います。