千葉県立農業大学校の新規就農者向け研修について

新規就農を目指す人がまず、最初に検討すべきことは農業大学校での研修受講です。

農業大学校では、新規就農者向けのさまざまな研修を行われています。研修を通じて農業技術・知識の基礎を学ぶことができるので、多くの新規就農者が受講しています。

本記事では千葉県立農業大学校の新規就農者向け研修について紹介していきます。

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千葉県立農業大学校ってどんなところ?

次世代の農業の担い手を育成するための専修学校です。農業に関する技術・知識の実践的な教育を行い、優れた農業者・農業指導者を育成することを目的に設立されました。

所在地は千葉県東金市で、千葉市から東に約30kmに位置しています。

学科は高校卒業後に一般の学生が入学する農学科・研究科と、新規就農を目指す人が入学する農業研修科があります。

新規就農者向けの研修について

千葉県立農業大学校では、新規就農者向けに以下の3コースの研修を実施しています。

(1) 就農準備講座 ・・・ 就農に興味がある人向けの初歩的研修
(2) 農業者養成研修 ・・・ 新規就農者向けの農業技術習得ための基礎研修
(3) 就農実践研修 ・・・ 農業経営の実践研修

(1) 就農準備講座

就農に興味がある人、本格的な家庭菜園をやりたい人などを対象とした初心者向けの講座です。毎週土曜日(全7回)の講座で初歩的な講義と農作業体験を行います。

午前中は農作物栽培方法や肥料の使い方などの講義が行われます。

午後からは農場実習で野菜の栽培体験が行われます。季節の野菜の播種、定植、収穫まで一連の作業を体験できます。また、収穫した野菜は持ち帰って食べることができます。

講座の内容としては、次項で紹介する農業者養成研修のお試し版のようなものになります。

(2) 農業者養成研修

新たに就農を希望する人、すでに就農している人など本格的に農業の勉強をしたい人向けの研修です。

千葉県立農業大学校に正式に入学し、学生として平日毎日6時間、プロの農業者として必要な知識・技術をみっちり勉強することができます。

研修内容

最初の3ヶ月は午前中が講義午後が実習となります。4ヶ月目以降は実習がメインとなります。主な研修内容は以下のとおりです。

講義(農業経営、農作物栽培、土壌・肥料、病害虫)
農場実習(露地野菜、施設野菜、花卉)
プロジェクト実習(200㎡くらいの畑とハウスを与えられて自由に耕作する実習)
農家実習(栽培希望の品目を作っている農家の元へ研修に行く。4~12ヶ月目に週2日)
その他特別研修(農業機械研修、大型特殊免許取得、市場見学など)

研修期間の選択

農業者養成研修は3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月の中から期間を選択することができます。

3ヶ月コースでは講義、農場実習、プロジェクト実習、農業機械研修が受講できます。6ヶ月コース・12ヶ月コースでは、これに加えて農家実習と特別研修を受講することができます。

なお、次項で紹介する就農実践研修や、農業大学校以外の研修制度を利用する場合、農業大学校で農業者養成研修を受講することが要件となっています。

農業大学校で6ヶ月以上の研修が要件となっている研修制度が多いので、制度を併用する場合は6ヶ月コースまたは12ヶ月コースを選択する必要があります。

農業大学校以外の研修制度については、別の記事『千葉県での新規就農の方法①『農業技術の習得』』で紹介していますので、そちらをご覧ください。

(3) 就農実践研修

農業大学校の研修農場の一部を使用して、農作物の栽培と販売を行う実践的な研修です。ある程度の農業技術を持った新規就農者向けの研修で、模擬経営を行うことにより本就農前の腕試しができます。

研修期間は1年間となります。

農作物の栽培は農業大学校の畑や設備、肥料などを使用することができます。販売については、農業大学校が運営している直売所で販売するほか、道の駅の直売所など自分で販路を開拓することも可能です。

なお、この就農実践研修を受講するには、(2)で紹介した農業者養成研修を6ヶ月以上受講することが条件となっています。

研修中の身分は学生になります

農業者養成研修および就農実践研修は、千葉県立農業大学校に入学して学生という扱いになります。就農準備講座は学生になりません)

学生になるので学生証明書が発行され、電車などの公共交通機関の定期券に学割が適用されます。

ただし、研修農場は駅から距離が離れているため、電車で通学するためには最寄駅(東金駅または福俵駅)に自転車などを用意しなければ厳しいでしょう。

また、子どもが保育園に通っている場合は保育の事由としても認められますので、子どもを保育園に通わせることも可能です。

研修費用について

非常に安価な費用で研修を受講することができます。金銭面での負担が少なく済むことも大きなメリットです。各研修の費用は以下のとおりです。

就農準備講座

受講料は無料です。傷害保険料として少額の徴収があります。

農業者養成研修・就農実践研修

受講料は月額3,300円です。また、初期費用として35,000円が必要となります。(教科書、道具代など)

研修中の補助金制度について

農業大学校で1年以上研修を行うと『農業次世代人材投資事業(準備型)』という国の補助金制度の対象となります。

この補助金制度は、新規就農者の就農前研修中の生活資金援助を行う制度です。要件を満たした研修を1年以上行うと年間150万円を受給することができます。補助金の対象となる研修期間は最長2年間です。

農業次世代人材投資事業(準備型)については、別の記事『新規就農者への補助金制度『農業次世代人材投資事業』について』で詳しく紹介していますので、そちらをご覧ください。

千葉県立農業大学校の研修制度の詳細について

新規就農者向け研修制度の概要については、千葉県のホームページで確認できます。

募集期間や要項などが記載されていますので、興味がある人は以下のサイトを確認してください。

千葉県立農業大学校・農業研修科・機械化研修科(外部サイト)

また、研修農場を直接見学することができます。見学を希望される人は農業大学校へ電話で問い合わせをするとよいでしょう。

筆者の農業大学校の受講感想

筆者も千葉県立農業大学校の農業者養成研修を1年間受講しましたが、農業の基礎技術・知識を学ぶことができ、農業関係の人脈も大きく広がりました。

農業大学校の先生は丁寧に指導してくれますし、就農に関する細かな疑問についてもしっかりと答えてくれます。さらに農作業体験で作った野菜を実際に食べることができるので、農業のやりがいを感じることができます。

研修生同士の交流も活発で、同じく新規就農を目指す仲間ができます。私も学校を通じて出会った新規就農者の仲間と就農に向けて活発な交流や情報交換をしています。

また、農業大学校の研修は、農業の基礎技術を身に付けた証明になりますし、補助金を受けることもできます。さまざまな面でメリットがあるので、新規就農を目指す方は、まず最初に農業大学校での研修を検討することをおすすめします。

農業大学校の農業者養成研修についてもっと詳細な内容を知りたい方は、当ブログの『千葉県立農業大学校に関する記事』を読んでいただければイメージがしやすいと思います。

もし、研修について気になることがありましたら、私でよければ相談に乗りますのでこちらからメッセージをいただければ回答させていただきます。まずはできることから始めることが大切だと思いますので、お気軽にどうぞ!

コメント

  1. 江敏(ジャンミン) より:

    こんにちは。
    私は中国重慶にいる中国人ですが、今年38歳ですが、これから日本で農業したいんですが、研修することができますか。
    ご返事お待ちいたします。
    どうぞよろしくお願いいたします。
    以上です。

    • 後藤 貴一 より:

      こんにちは!管理人の後藤です。

      中国人の方からコメントがあるとは驚きました。私は会社に勤めていた時に仕事で中国(上海・武漢・襄陽)に何度か出張したことがあります。その時に見た中国の広大な農地には驚かされました。

      ジャンミンさんは日本で農業をしたいということで、面白い考えを持っているのですね。

      さて、ジャンミンさんからのご質問の回答ですが、千葉県立農業大学校の農業者養成研修を受けることは可能だと思われます。

      千葉県のホームページには、研修の受講条件は「千葉県内で農業に積極的取り組もうとしている方」とだけ記載されています。また、学校の先生から聞いた話ですが、過去に中国人で研修を受けていた人もいるそうです。本気で研修を受けるのであれば、千葉県立農業大学校へ直接問い合わせをしてみるとよいでしょう。

      ただし、日本に研修・就労目的で長期滞在するためには在留資格(ビザ)が必要になると思います。私は在留資格についてはよくわかりませんので、専門機関に問い合わせてみるとよいでしょう。(中国の専門機関はわかりませんが、日本の専門機関は「外務省」です)

      同じ農業を目指す者として、ジャンミンさんを応援したいと思います。研修について聞きたいことがあれば、いつでも質問してください!