今日は、3か月間の研修の区切りとして、プロジェクト実習(自由に畑を耕作する実習)の研修成果発表会が行われました。発表を終え、最初の3ヶ月の研修を無事終えることができました。
この発表は、農業大学校を卒業するための要件となっていますので、必ず発表する必要があります。発表内容は、事前に決めた研究テーマの結果と考察を発表していきます。
私の研究テーマは、ネギの定植において、手植えと機械定植(ひっぱりくんによるチェーンポット移植)では、ネギの生育にどのような違いが生じるか、比較することにしています。
この研究テーマにした理由ですが、一般論としてネギは機械定植でチェーンポットを使用すると、ネギの根っこ部分を締め付けるようにポットが残ってしまうため、ネギが曲がったりするなど生育に悪影響が出ると言われています。それを実際に検証するためにこのテーマにしました。
ただし、反省すべき点があり、比較の条件が同一でなかった部分があることです。定植密度や葉切の条件が異なるため、純粋な比較ができていません。これについては失敗してしまいました。
また、チェーンポットによる生育の差異は、ネギがかなり大きくなってからでないと観察ができないため、今回は定植後1ヶ月しか経過していないので、この点についての差異はまだ確認できていません。
発表の概要は以下の通りです(発表資料を抜粋)。大して面白い内容では無いと思いますので、興味が無い方はスルーしてください(笑)
平成30年度 農業者養成研修(前期)プロジェクト実習 実績概要
1.目 的
ネギの栽培において、手植えと機械定植(ひっぱりくんによるチェーンポット定植)の生育を比較し、生育、収量等にどのような影響を与えるかを調査する。2.計 画
(1) 栽培品種 : 夏扇4号(2) 栽培計画 : 4月播種、6月定植、収穫11月
3.調査項目
ネギの手植えと機械定植(ひっぱりくんによるチェーンポット定植)の生育比較を行う。(1) 作業実績
① 播種(4月22日実施)
手植え分は通常のセルポット、機械定植分は専用のチェーンポットに播種して育苗。
(チェーンポット)② 葉の刈込(6月5日実施)
機械定植分の苗のみ実施(定植の際に絡まるため)。手植え分はそのまま定植。
(刈込前の苗)
(刈込後の苗)③ 定植(6月8日実施)
手植えは葉の刈込をしなかったため葉が長く、バランスがあまり良くない(葉先がよれてしまっている)。一方、機械定植は葉を刈込したためバランスが良い。また、手植えは機械定植と比較して疎植となった(密植がやり辛かったため)。
(手植え定植)
(機械定植)
(機械定植(ひっぱりくん)の定植作業)(2) 定植おける条件の差異まとめ
※1 機械定植の場合、苗の葉が長いと葉が絡んで定植に支障が出るため、刈込を実施した。
※2 手植えの場合、機械定植ほどの密植が難しかったため、疎植気味となった。4.結果
定植方法の違いによる生育については、以下の差異が観察された。
(定植2週間後の手植え定植)
(定植2週間後の機械定植)5.考 察
今回の比較では、手植えは大きいが葉に勢いがあまりなく、機械定植は小さいが葉に勢いがあるという結果になった。差異の要因としては、栽培密度と葉の刈込が生育に影響を与えられたと考えられる。特に葉の刈込は生育に大きな影響があると感じた。定植後に知ったのだが、ネギは葉を切ると勢いが良くなるため、プロの農家は3~4回、葉を刈り込むということなので、次回ネギを育苗する際には刈り込みの回数を増やしたい。
なお、機械定植の場合ペーパーセルを使用するが、ペーパーセルが土中に残ってしまうため、ネギの根元が締め付けられることにより生育が遅れるというのが定説にあるが、現段階では生育に影響はない。今後の生育を観察したい。
6.今後の予定
ネギの大規模経営を目標とし、2019年3月まで研修を行い2019年4月に就農する。2018年7月から9月までは、プロジェクト実習でのネギ栽培と、ネギ農家への農家実習でネギ栽培の基本を身に付ける。10月から3月までは、千葉県が実施している『プロ農家育成インターンシップ事業』を利用して、大規模ネギ農家の元で実践的な研修を行いたい。また、合わせて経営計画を策定していく。