千葉県での新規就農の方法③『資金の確保』

今回の記事は、大事なおカネにまつわるお話しです。就農を考えているあなたはどれくらいの資金を用意していますか?

前回までの記事で、新規就農の3つの前提条件のうち『農業技術の習得』、『農地の確保』についてお話ししました。今回の記事では、3つめの条件である『資金の確保』についてお話ししていきます。

事業資金と生活資金について

新規就農にあたっては、事業資金生活資金の確保が必要となります。

事業資金の用途は、農地の取得・賃借費用、トラクタやハウスなどの農機具の購入費用、肥料などの資材費用、運転資金などが挙げられます。

栽培する作物や規模によって事業資金は異なりますが、露地野菜をメインとする新規就農者が就農1年目に要した平均事業資金は、321万円というデータがあります。(全国新規就農相談センター調べ平成25年度)

また、農業を始めて数年は経営が不安定になりやすく、最初の1年間は無収入であることも考えられます。

このため、ある程度の生活資金を蓄えておくことも必要です。

理想の生活資金は2年分以上ですが、難しい場合でも最低1年分の生活資金は用意するようにしましょう。

なお、資金は自己資金でまかなうことが基本ですが、一定の要件を満たせば、生活資金の補助、有利な条件での事業資金の融資を受けることもできます。

生活資金の補助金制度『農業次世代人材投資事業』について

生活資金の補助制度は、研修中の資金を補助する『農業次世代人材投資事業(準備型)』と、就農後の資金を補助する『農業次世代人材投資事業(経営開始型)』の2つの補助金制度があります。

農業次世代人材投資事業(準備型)

農業次世代人材投資事業(準備型)』は、新規就農者の就農前研修中の生活資金補助を行うものです。
要件を満たした研修を1年以上行うと年間150万円を受給することができます。(最長2年間)

農業次世代人材投資事業(経営開始型)

農業次世代人材投資事業(経営開始型)』は、新規就農者の農業経営が軌道に乗るまでの生活資金を補償する制度です。
就農開始から前年の所得が350万円を超えるまで間、年間最大150万円を受給することができます。(最長5年間)

農業次世代人材投資事業の詳細について

農業次世代人材投資事業については、別の記事『新規就農者への補助金制度『農業次世代人材投資事業』について』で詳しく紹介していますので、そちらをご覧ください。

事業資金の無利子資金制度『青年等就農資金』について

事業資金の融資を行う資金制度として『青年等就農資金』という新規就農者が無利子で資金を借り入れできる非常に有利な制度があります。

これは日本政策金融公庫の資金制度で、最大3,700万円の資金を無利子・保証人無しで借り入れすることができます。

資金の使用用途は、農地の賃借料(取得は不可)や施設・機械の取得から種苗費・肥料費等の運転資金まで幅広い用途で融資を受けることができます。
新規就農者は初期投資の負担が大きいため、利用できれば資金繰りの負担も軽減されるでしょう。

また、この資金制度は原則信用力(資産の大小)の審査は無く、新規就農者が作成した営農計画の内容に基づいて融資額が決定されます。

つまり、営農計画の完成度が高ければ誰でも多額の借り入れを行うことが可能となります(ただし、国の資金制度となるため融資額の決定においては営農計画の厳重な審査があります)。

また、この制度は新規就農から5年間利用することができます。
最初は少額の借り入れを前提とした営農計画を作成し、初期の営農計画が目標通り達成できたら追加して借入金の額を増やし事業拡大につなげていくという使い方が一般的でしょう。

ちなみに資金の借り入れの際には、営農計画、返済計画、定期提出書類等、大量の書類を作成・提出しなければなりません。

青年等就農資金の利用には、借入金の返済から事務的な手間まで発生します。
あくまで借金ですから、利用については慎重に検討をしてください。

なお、青年等就農資金の制度詳細については、日本政策金融公庫のホームページを参照してください。

(株)日本政策金融公庫 青年等就農資金(外部サイト)

農林水産省 新規就農者向けの無利子資金制度について(外部サイト)

他にも低金利で資金の借り入れができる資金制度として、日本政策金融公庫の『スーパーL資金』や、JAの『農業近代化資金』があります。

日本政策金融公庫 スーパーL資金(外部サイト)

JAバンク 農業近代化資金(外部サイト)

いずれも低金利の資金制度ですが、最初に利用するのであれば、無利子で借り入れできる青年等就農資金の利用を検討しましょう。

補助金・資金制度を利用する際の注意点

これまで紹介した補助金、資金制度は非常に有用な制度となりますが、いずれも必ず制度が受けられるとは限りません。

制度を申請しても認可が降りないこともありますし、申請する時には制度が終了していることも想定されます。

これらの補助金を前提に計画を組むのはリスクが伴いますので、補助金を受けられなかった場合も想定して営農計画を立てる必要があります。この点については、十分に注意をしてください。

結びに

全3回の記事で、新規就農のための3つの条件についてお話ししました。この3つの条件を達成しなければ就農することはできません。これから新規就農をする人は、この3つの目標を意識するとよいでしょう。

もし、就農について質問等がありましたら、筆者でよければ相談に乗りますのでこちらからメッセージをいただければ回答させていただきます。まずはできることから始めることが大切だと思いますので、お気軽にどうぞ!

コメント

  1. […] 次回の記事・・・千葉県での新規就農の方法③『資金の確保』 […]